M2M番号はどこへ行く? 020-0は14桁化で、441XYのMNCは3桁化
本記事の概要
- 電話番号020について
- 020-0を14桁でM2Mに割当予定
- 020-[12356789]は当面11桁のまま
- ポケベル・D-FAX用の020-4については触れられず
- 441XY始まるIMSI・PLMNについて
- MNCを現在の2桁 (441-XY) から3桁 (441-XYZ) に変更を予定
- UQ WiMAXでの441-10の使用は終了を予定
- ワイモバイルPHSでの441-01の使用 (サービス自体) は終了を予定
- WCP AXGPでの441-00の使用は継続を予定
- MNCが2桁と3桁が入り混じるのは標準ではないが、なんとかなりそう?
M2M専用番号020の今後について
当初の計画について
NTTドコモが2017年10月より020を使うことを宣言したのは記憶に新しいだろう。これの根拠となる電気通信番号規則の改正が根拠としている、答申の1つ、情報通信審議会答申「携帯電話番号の有効利用に向けた電気通信番号に係る制度の在り方」ではM2M 等専用番号の導入当初においては、携帯電話事業者のシステム改修等に係る期間や投資を考慮し、関連サービスが迅速かつ円滑に提供されるよう、従来の携帯電話・PHS と同じ 11 桁とすることが適当である。11 桁の M2M 等専用番号の導入により、当面は 8,000 万番号が開放されることとなるが、指定番号数がこのうちの相当数に達すると見込まれる時期以前に桁増しを行うこととし、将来にわたる M2M 等の需要増を吸収するに十分な番号空間を確保することが必要である 情報通信審議会答申「携帯電話番号の有効利用に向けた電気通信番号に係る制度の在り方」
桁増し後の桁数については、電気通信事業者によれば、12桁に増やす場合と13桁に増やす場合とではネットワーク改修コストの差は大きくないとのことであった(14桁に増やす場合は、PHSの標準仕様が13桁までしか対応していないため、PHSに係る標準仕様の変更やネットワーク全体の改修を行う必要がある。)。このようなことも踏まえ、桁増しに当たっては、投資コストが大きく変わらない範囲で、できるだけ多くの番号空間を確保し、番号資源の有効活用を図ることが適当である 情報通信審議会答申「携帯電話番号の有効利用に向けた電気通信番号に係る制度の在り方」
としており、当面の間は11桁で使うが将来的に (PHSの問題を避けるために14桁でなく) 13桁にすると言っているのである。
IoT時代の電気通信番号に関する研究会での議論
020番号の利用について発端となる情報審議会答申「携帯電話番号の有効利用に向けた電気通信番号に係る制度の在り方」から3年、実際に使用すべしとする情報通信行政・郵政行政審議会答申「電気通信番号規則等の一部改正について」から2年が経ち、そして実際の使用から1年が経って桁増しをするべきかどうかという判断材料が出そろったのか、はたまたどうにかする需要がうまれてしまったのかは不明だが、IoT時代の電気通信番号に関する研究会が開催されるに至った。
この研究会では各事業者に対してヒアリングが行われたが、現在事業を展開している携帯電話事業者3社はいずれも14桁にすることにより、さらなる桁増しを必要としない “最終的解決” を次の桁増しに求めた。そして桁増しをする範囲としては、既に顧客へと割り当てた番号を桁増しするのは様々な事由から困難であるとし、未割当番号である020-0や、020-9のような未指定番号を希望した。
これまでの議論ではPHSを理由として、13桁までの桁増しにしないと対応費用が高額になってしまうとされていたが、PHSの音声サービスは2020年7月末で終了予定であり、桁増し自体は2021年度末を予定しているからPHSの改修は不要と見なしている。
最終的には未指定の020-9などではなく、未割当の020-0を活用して14桁化される見込みである。これは、020-9などの割当済・未指定の番号を桁増しの対象として指定を留保すると、桁増しが行われる前に指定可能な電話番号の枯渇が懸念されたためである。
ちなみに020-0のような、0A0から始まり4桁目が0となる電話番号は、0120のような0AB0から始まる “高度な電話サービス” と錯誤しないように使用が避けられていたが、14桁のM2M向けに020-0が電気通信番号規則の改正・事業者に指定されれば、2017年に改正・2018年に指定されたFMC用の060-0に引き続き2例目となる。恐怖! MNCの3桁化!
概要
現在日本にはMCCとして440と441との2つが割り当てられている。そしてMNCとしては440 / 441どちらのMCCであっても2桁を採用しているため、PLMNは最大200事業者に割当が可能となっている。
しかしながら今後、プライベート5GやsXGPの利用に伴って必要数が増えると予期されるため、 MNCをITU-T勧告E.212で許容される最大桁数である3桁とすることによって割り当て可能な事業者数を増やしたいというのが研究会の方針である。
桁増しにかかわる問題
本末転倒の感がしなくもないが、事業者ヒヤリング (全文) のIIJ回答を眺めていただくのが問題に関する理解には手っ取り早い。前述のとおり、現在日本ではMNCとして2桁を採用している。この状況から割り当て可能なPLMNを増やすにはMNCを3桁に桁増しすることになるが、MNCが2桁と3桁とで混在することは考慮されていない。無理やり混在させたとしても2桁時代のMNC一つあたり、3桁空間で11事業者の番号を消費してしまうので、キレイに1000事業者割り当てられるようになる、という訳ではないのである。
幸いながらMCCが441の事業者・方式は、ソフトバンク系のWCPが提供しているBWA (AXGP), 旧ウィルコムのワイモバイルPHS, UQコミュニケーションズのWiMAX 2+のみとなっている。そしてワイモバイルPHSは前述のとおりサービスの終了を予定しており、UQはMCCを440としたPLMNを新規に取得して移行を予定している。
一方でAXGPを提供しているWCPは移行の予定が一切なく、今後もプライベートネットワーク用として440-00を使用し続けることを望んだ。筆者 (hadsn) 独自の研究 (確認) ではあるが、SoftBank AirのAirターミナル (無印) の時代は441-00のSIMを使っていたが、Airターミナル3の時代である現在は、非常時にSoftBank 4G LTE網に接続するため440-20のSIMを使っているという認識 SoftBank AirのAirターミナルは441-00のSIMを使っているの (2019/07/08訂正) である。つまり、ヒヤリングで黒塗りになっている部分はそういうことなのだろう。早いところ巻き取っていただきたい。
これらのことより判るのは、MCCが441におけるMNCを3桁化したいというのが方針だが、ソフトバンク系であるWCPは依然として440-00を使用し続けることとなっている。MCC: 441のMNCが2桁であることを前提とした古い端末は言うまでもないが、今後設計・製造される端末でも不十分な試験により、MNCの3桁化や2桁・3桁の混在で不適切な動作をしかねないという不安が残っている。