ドコモの3.5GHz帯(Band42)の実験局を見にいってきた
ドコモの3.5GHz帯(TD-LTE Band42)の実験局を見てきました。
3.5GHz帯(TD-LTE Band42)のおさらい
ドコモ | au | Softbank | |
周波数割り当て [MHz] | 3480-3520 (Low) | 3520-3560 (Middle) | 3560-3600 (High) |
サービス開始時期 ※1 | 2016年6月予定 | 2016年6月予定 | 2016年12月予定 |
2019年度末までの 開設予定基地局数 |
17,586局 | 16,973局 | 23,031局 |
2019年度末までの投資額 | 約1821億円 | 約1676億円 | 約787億円 |
CA組み合わせ ※2 | 42C
1A-42A 3A-42A 19A_42A 21A-42A 28A-42A 1A-3A-42A |
42C
1A-42A 28A-42A 41A-42A 1A-41A-42A |
42C
1A-42A 3A-42A 28A-42A 41A-42A 1A-3A-42A |
※1 エリア化には各社共に以下の条件が課されている。
1, 2018年度末までに特定基地局(3.5GHz帯の基地局)人口カバー率を5割以上にしなくてはならない
2, 2016年度末までに高度特定基地局(下り理論値最大1Gbps以上の基地局)の運用を開始しなくてはならない
3, 全国で運用しなくてはならない
※2 Rel.13までに制定された組み合わせです。
また、時期が早いと思い、3Band 4CCの組み合わせは省略しています。
なお、バンドの後ろについている英字は”CA bandwidth class”で、Aは連続20MHzBW以下の1CC, Cは連続20MHzBWより広く40MHzBW以下の最大2CCのことを指します。
(2016.08.25 追記:
管理人がわかりやすい解説記事を書いてくれたので、そちらを御覧ください。
キャリアアグリゲーションのバンド組み合わせ表記について)
CA_1A-42Aなら例えばB1 15MHzBW + B42 20MHzBW
CA_3A-42CならB3 20MHzBW + B42 20MHzBW(3480-3500MHz) + B42 20MHzBW(3500-3520MHz)
※ 上下比は1:3になると予想されます。
まずは免許情報を確認
総務省の無線局データベースによると
・茨城県鉾田市に4局
・千葉県に1局
・神奈川県横須賀市に4局
免許が交付されていました。
いずれも諸元は以下のとおり
免許人:株式会社NTTドコモ
帯域幅:20MHzBW
中心周波数:3490.1, 3509.9 MHz
出力:960mW
100kHz内側によっていますね。
これらの実験試験局の内、茨城県と千葉県の局を見てきました。
千葉県長生郡長柄町
CV長柄高山RK
3月3日SankeiBizに掲載されたニュースに載っていた写真がこの局でした。
LTEはB1/21/19を出してる鉄塔のマクロ局で、根本にアドオンセルが付設されていました。
B1/21は制限が掛けられており、接続できませんでした。
3月2日にドコモが発表したCA_3A-42Cで受信時最大340Mbpsに成功した局もここになります。
マクロ局側にLTE B3の設備はなかったため、スモールセル同士のCAで実験したものと思われます。
当然のことながらマクロ局のRREはBS-3201形BDEに接続されており、これにより柔軟なCAが可能になります。
AC32CV長柄高山RK基地実験
コン柱が2本、それぞれB3とB42のアドオンセルでした。
アドオンセル(スモールセル)向けの小型低出力光張出し装置(SRE:low power Small optical remote Radio Equipment)が設置されていました。
出力が4ポートあり、1台で4MIMO対応と見られます。
この局では6MIMO x 2セクタ構成でした。
目の前が数100mの直線道路なので、(高速)移動中の実験をしていると思われます。
なお、親局が近くにあると思われますが、今回は見つけることが出来ませんでした。
茨城県鉾田市
こちらには2つの実験マクロ局がありました。
CV鉾田大戸RK
LTEはB1/3/21/19を出している鉄塔のマクロ局でした。
B1/3/21は制限がかけられていました。
コン柱にB3/21のBS-3201がありましたが、電波は出していませんでした。
CV鉾田大戸RK第二/第三
CV鉾田大戸RKから直線でおよそ700m離れたところに並んで2局建っていました。
直線220m間隔で併設されていました。
いずれもH/V偏波の無指向性アンテナ×4で8MIMOでした。
いずれも電力メーターがないのが気になりました。
電波を出していたので、スペアナで確認してみました。
3.5GHz帯のハンドオーバーの実験をやっているものと思われます。
対応端末はまだ持っていませんが、スペアナで電波強度を確認した動画がありますのでご覧ください。
CV鉾田鹿田RK
LTEはB1/21/19を出している鉄塔のマクロ局でした。
B1/21は制限がかけられていました。
???
上記マクロ局から南方向に見通し直線で270mのところにあったコン柱局です。
BS-3201F 3.5G 2台でH/V偏波の指向性アンテナ×4の8MIMO局でした。
電波は出しておらず、電力メーターから察するに1度も電波を出していなかったと思われます。
???
上記マクロ局から北西方向に900m離れたところにあったコン柱局です。
個人の戸建住宅の庭に建てられていました。
道路に沿って角を曲がると急激に電波強度が落ち、回折しにくい伝搬特性を再度確認できました。
マクロ局(CV鉾田鹿田RK)のセルエッジ付近でもあり、弱電界下での実験をしていたかもしれません。
BS-3201F 2台でH/V偏波の無指向性アンテナ×4の8MIMO局でした。
この局も電力メーターはついていませんでした。
CV鉾田北
ドコモの発表資料に載っていた鉄塔マクロ局ですが、噂通り写真が左右反転されていましたhi
BDEが置かれている親局で、同期用のGPSアンテナ(キノコ)が生えていました。
LTEはB1/3/21/19を出していましたが、特に制限は掛けられていませんでした。
最後に
3.5GHz帯は間違いなく2016年の目玉となります。
ドコモは既存周波数帯とのCAの組み合わせは多彩ですので、今後トラヒック分散に役立つと期待できます。
オペレーター規制されていたことから察するに、B1/3/21とB42のCAは想定しているものと考えられます。
人口カバー率5割以上、全国で展開、唯一ドコモだけが2.6GHz帯を保有していないなど険しい道のりだとは思いますが、この伝搬特性が全く異なる新しい周波数帯でどのようなセル設計をしてくるか楽しみです。
注意
B42に絡んだCAに限ったことではないのですが、CAを体験する際には
1, 基地局が目的の組み合わせのCAに対応している
2, 端末のモデムの性能(UE Cat.)が十分である
3, 端末が目的のCAの組み合わせに対応している
必要があります。
例えば、廉価なモデルではUE Cat.が不十分でCA_1A-42Aで下り最大260Mbpsになる可能性もあります。
加えて、現在展開されているドコモのCAはCA_1A-3Aを除きIMEI制限が掛けられているという噂もありますので、仮に上記が満たされていてもキャリア版以外の端末では使えないかもしれません。
参考リンク
- 第4世代移動通信システムの導入のための特定基地局の開設計画の認定 | 総務省 (2016.03.21 閲覧)
- TS 36.101 Rel-13 v13.2.1 | 3GPP (2016.03.23 閲覧)
- ドコモが375メガビット高速通信 6月から順次拡大 基地局活用し災害対策も | SankeiBiz (2016.03.21 閲覧)
- 2016年3月2日ネットワーク説明会資料 | NTT docomo (2016.03.21 閲覧)
- 高度化C-RANアーキテクチャを実現する無線装置およびアンテナの開発 | NTT docomo (2016.03.21 閲覧)