東電・KDDIほかが配電柱への5G局設置実験を発表す。共用方式はトン協と違う?

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概要

2019年3月19日、東電PGおよびKDDIをはじめとする実験参加者であるソフトバンクと楽天MNは、5G基地局を配電用の電柱上に設置、アンテナを事業者間で共用する実験を行う旨を発表した。設置方法や共用による干渉の検討を行う。

解説

高い周波数の開拓とその弊害

5G向けにはサブ6GHzの3.7GHzおよび4.5GHzと、ミリ波の28GHzが割り当てられる方針となったことが記憶に新しい。 これらの周波数はPHSで採用された1.9GHzや3Gで利用が始まった2GHz, WiMAXなどのBWAで使われている2.6GHzよりもはるかに高い周波数であり、ミリ波の28GHzに至っては手で覆うだけで大きく減衰をすることで知られている。

困難な基地局の設置

このような周波数帯で移動体通信サービスを提供するためには非常に多くの基地局が必要になり、景観を気にするどころか設置場所に困るという事態になりかねない。このため、東電PG管内だけで580万本も存在する配電柱を基地局設置場所として選ぶのは当然のことであり、他の記事で触れたように、LTEやBWA, 3Gでは現に利活用されているのである。 その一方で、東電PGの電柱へ設置する際の窓口となる、東電TPが公開している技術基準では1柱1装置 (1柱1局) としており、現在の基準では上で挙げたような問題は移動通信基盤整備協会や、先日の “公益事業者の電柱・管路等使用に関するガイドライン” の改正によって可能となったシェアリング事業者を間に挟まない限り、電柱の利用によって十分に解決できないというのが実際のところである。

大量の基地局に効くその対策

大量の基地局を美観に配慮し、効率的に設置するには基地局のための構造物 (コンクリート柱や鉄塔) や無線設備 (無線機やアンテナ) を共用するのが解決法の1つであることは、移動通信基盤整備協会の例から明らかである。しかしながら残念なことに、現在の規定では (電柱に設置する場合、何らかの中間事業者が存在しないと) これができないこととなっている。 今回の実験では併架・装柱管理の簡略化のために策定されたであろうこの基準を、複数社併架した場合にいかなる問題が発生しうるかを調査し、この問題をどのように解消していくかを研究するのが主目的であると考えられる。 各社のプレスリリースに掲載されている図を確認する限りでは、共用する各社の無線機が配電柱に直接取り付けられ、アンテナのみを共用器で共用する形態になると予想される。この予想される形態は通信基盤整備協会が地下鉄駅などで行っている、駅の機械室や各社が用意した空間に基地局設備を置き、協会設備によって光信号に変換、アンテナ近傍で再度RFに変換するというものとは異なっている。

ドコモの不参加

今回の実験には、既に電柱に基地局を設置しているNTTドコモは不参加のようである。日経新聞では5G基地局の開設計画が認定されてから実験に参加する旨が報じられている一方、ケータイWatchでは東電PGとKDDIが中心となって実験を行う旨が報じられているため、メンツの問題で参加してないのでは?と邪推してしまいかねない。

無電柱化との矛盾?

この報道を受け、Twitterでは無電柱化の方針に逆行するのではないか?という意見が見られた。 無電柱化自体は国土交通省が進めている事業であり、景観の向上・歩行者の安全な通行・自然災害への対策を目的としている。これらの目的もあってか主要道路や観光地が無電柱化の中心であり、むしろ住宅地のような、いわゆる裏通りは主要道路の無電柱化の犠牲になれ、という無電柱化の方式 (裏配線方式) すら存在している。 1986年 (昭和61年) より無電柱化の (第一期) 計画は実施されているが、金が比較的あるはずの横浜市ですら、災害時に物資の輸送などの中心となるであろう第一次緊急輸送道路すら無電柱化が完遂されていない。このため個人の所有物件が多く、基地局設置に適した不動産物件が少ない住宅地にまで無電柱化が波及するには5年どころか10年以上の年月を要することは自明だろう。 “電気通信事業分野における競争の促進に関する指針” では無電柱化などの改修・移転計画がない限り、競争事業者に適切な価格・適切な準備期間で貸し出すよう定めているため、5年という期間は一定の目安とするのは妥当であろう。

いろいろなリンク

各社プレスリリース

各社報道

その他文献

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ドーモ、hadsnです。誰が得するんだ、というネタをズバッと解説。自前のWebページは13年やってやっとアクセスカウンタが7000まで回りました! 今後ともご贔屓に(?)